「私ね、彼氏できたんだ」
いつものように、背後から抱きしめようと伸ばしかけていた手が、雷に打たれたように制止した。
それぐらい衝撃な、ねーちゃんの告白だった。
祝福したいと思う反面、「とうとうこのときがきてしまった」という落胆の想いもある。なぜなら、彼女は……。
久しぶりに一緒に過ごせる自由な時間。それなのに告げられた別れの言葉。俺が動揺してしまったのも、無理はないだろう。
「と、とにかく、まあ……よかったじゃないか。それじゃあ、これで俺もお役御免ってやつだな。はは、は……」
「……もう1回。ふたりが旅行に行ってる間に、ひと晩じゅうヤリまくろっか? 最後の想い出に。がんばって、ちゃんと溜めておきなさいよ。」
こうして、ふたりだけの、最後の一番長い夜が始まるのだった……。
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