【ストーリー】
はいはい、早く用意するっ! 遅れた人は校庭50周だからねっ!」
まだ眠気の漂う朝の教室に、元気のいい女子生徒の声が響き渡った。
う、うん……ごめんね、グズグズしてて……」
少し雰囲気に影のある少女──渚が申し訳なさそうに頭を下げる。
アンタがどんくさいのは、前から分かってるよ。なんてったって、こんなグータラ男の幼馴染なんだもんねっ」
ビシッと俺の顔を指差してくる。
明るく快活で、ちょっとキツい性格ながらも、みんなから慕われている桜。
一方の渚は控えめで物静か、クラスの中でも決して目立つ存在じゃない。
性格は正反対でも、二人はどこにでもいる普通の女の子。
クラスの誰もが、きっとそう思っているだろう。
少なくとも、俺以外の誰もが──。
|